さあ、皆さんお待ちかね!「ナイン・センチ・ネーション」とは何か?ということについて理解を深めていただくためのコーナーです。 最新⇒ 4/8

            《この連載は、連続して読めるように日付の新しいものが下に掲載されます。》

1:ナイン・センチ・ネーションとは何か? (3/13)
さあ、いよいよそのベールを脱ぐ“ナイン・センチ・ネーション”ですが、このコーナーではインタビュー形式の連載で、その全貌に迫ってみたいと思います

Q:それでは、まず始めにズバリお聞きします。ナイン・センチ・ネーション(以下NcN)とは、何でしょうか。

A:直訳すると、9cm国家ですね。9cm四方の枠の中に独立した世界が存在している、という意味が込められています。それを国家という言葉で表現してみました。

Q:なるほど。それでは、9cmの方にはどのような意味が込められているのでしょうか。

A:SICFで割り当てられるブースのスペースが、180cm×180cmであることから、その中にどれだけ多くの作品を展示できるか考えました。そして、9cm×9cmというサイズを割り出したのです。結果的に、ちょうど手の平に乗る大きさなので、ショート・ストーリーを発表するには最適だろうということで決定しました。

Q:ということは、物語を発表するのですね。

A:今、ショートストーリーと言いましたが、実際はショート・ワークスと呼んでいて、詩や戯曲などもそこに含まれています。ジャンルを問わず、短編という括りで作品を捉える概念と考えて下さい。

Q:ということは、物語、詩、戯曲の作品が、混在しているということですね。

A:そうです。更にそれらをミックスしたような作品も含まれています。

Q:それは、どのぐらいの数になるのでしょうか。

A:256作品です。

Q:それだけの分量の作品を、どうやって展示するのですか。

A:入り口の正面の壁に、作品を16×16の配置で、タイルのように並べます。

Q:来場者は、それを勝手に読めるのですか。

A:はい。作品はピンで留める予定なので、読みたい作品を自由に取って読むことができます。ただし、表にはタイトルしか書かれていないので、読んでみないとどんなジャンルの作品か分かりません。

Q:ちょっと混乱しませんか

A:それが狙いです。あらゆる既成概念を取り払って、作品と対峙するということをこの場で体験してほしいからです。

Q:そういった体験を通して、何を伝えたいのですか。

A:来場者の想像力を直撃したいのです。作品に対する予備知識が全くない、さらな状態で接する機会は、意外に少ないのではないでしょうか。そういった状況で、例えば詩や戯曲を読んだことのない人が、初めてそれを読むことで新しい体験をする、ということをこの場で経験してほしいのです。子供時代に新しい体験に遭遇した時の驚きや感動といったものを、もう一度味わってもらえたらと思います。 

この後、話はどんどん核心へと迫っていきます。次回の更新をお楽しみに。

2:動機について (3/17)

前回は、ナイン・センチ・ネーションのコンセプトについてお聞きしました。第二回目となる今回は、そこに至るまでの道程について伺いたいと思います。

Q:それでは、SICFに応募しようとした、きっかけについてお願いします。

A:はい。それは三つあります。まず一つ目は、とにかく本を開いて読んでもらうという状況を作りたかったのです。BOMB書店を始めて1年ぐらい経ちますが、これまではアートフリマで活動をしてきました。アートフリマの場合、販売の要素が強く、BOMB書店のような展示スタイルの出展は、なかなか来場者に本を開いて読んでもらうという状況になりにくかったのです。だから気軽に立ち読みできる環境を作りたかったし、またそういう場所を求めていました。

Q:そうなんですか。では、二つ目を聞かせてください。

A:二つ目は、BOMB書店の持っている作品の全貌を、お見せしたかったのです。アートフリマの場合、全ての作品を持って行くわけにはいきません。また、持って行ったとしても、ごちゃごちゃして、見づらくなってしまうでしょう。だから、作品を整然と展示してみたかったのです。

Q:なるほど、それはよく分かります。

A:三つ目は、「アート文学」とは何かを提示したかったのです。2003年の終わりから、ライティング・アーツ(アート文学)を掲げたものの、正式にそれを発表する機会がありませんでした。だから、それに相応しいタイミングと場を探していたのです。そして前回のSICFを偶然見ていたのを思い出し、一番相応しいのではないかと思いました。

Q:今、出た「アート文学」とは何ですか。

A:それに関しては、サイトのコンテンツで取り上げて、詳しく紹介する予定なので、ここでは簡単にお話します。一言で言えば、総合芸術としての文学を追求するということです。この総合化には二つのベクトルがあって、一方は文章表現の総合化、もう一方は文章表現を異分野.と合わせる総合化になります。まあ、平たく言えば芸術としての文学を追求するということですね。正式にはライティング・アーツといいますが、分かりやすい表現としてアート文学と呼ぶこともあります。この二つは同じものと考えてください。

少しずつNcNの本質が見えてきたように思えますが、いかがでしたでしょうか。次回は、展示について迫ってみたいと思います。どうぞお楽しみに。

3:展示について(3/23)
第三回目はNcNの展示について、具体的に伺ってみたいと思います。

Q:さて、展示に関してなんですが、現在のところ、どのようなものになる予定なのでしょうか。

A:ブースは、1.8m×1.8mのスペースで、正面が出入り口、その他の三方がパネルで囲まれています。メインの展示は、入り口の真正面のパネルに設置します。

Q:それが、例の9cm×9cmのカードですね。

A:そうです。ここに256枚のカードを貼ると、スペースの横幅をほぼ全面的に使うことになるでしょう。

Q:なるほど。それではその左右のパネルは、どのようなディスプレーになるのですか。

A:向かって左側のパネルには、NcNに関する説明を掲示する予定です。イベントの趣旨や、参加ルールについてなどです。 右側の方は、母体となるBOMB書店の説明と、取り扱い商品の展示即売になります。そこで、本とNcNのグッズの販売を行う予定です。

Q:NcNのグッズというのは、どのようなものを予定しているのですか。

A:パンフレットとTシャツを予定していますが、まだ確定ではないので正式決定したら、こちらでお知らせします。本の方は、今まで販売してきたものをそのまま持って行きます。できれば、新作も持って行きたいですね。
それから、ここで、少し混乱してしまうかと思われるので、BOMB書店とNcNの関係について、お話したいと思います。

Q:お願いします。

A:BOMB書店は、作品の出版・販売をする場です。当初から、books&goodsを扱うということを掲げてきましたので、本がメインではありますが、それに関わるグッズの開発と販売にも積極的に取り組んできました。NcNというのは、BOMB書店が主催するイベントの一つと考えてください。もちろんBOMB書店の作品をイベント化するという形ではありますが、BOMB書店とはカラーを変えて、プロデュースしていきたいと考えています。そうすることによって、表現の幅を広げていきたいのです。

Q:分かりました。それにしても、ずいぶんと盛りだくさんなんですね。

A:そうなんです。だから会場にいらした方は、左から右回りにご覧になるといいでしょう。まず左側のパネルでNcNについてと、イベントの参加法を確認してから、メインの展示に移って参加していってください。そして更に余力があれば、右側の物販などもご覧になっていただけると嬉しいです。


会場内の全貌が垣間見えてきましたが、いかがでしたでしょうか。これに合わせて、SICFに提出した審査用ファイル(出展プランなど)の画像をWORKSにて、大公開しました。こちらの方も合わせてご覧下さい。

4:デザインについて (4/1)

前回は展示について伺いましたが、今回はその流れで、デザインについてお聞きしたいと思います。

Q:まず、気になっていることから伺いたいのですが、サイト上で見られるNcNのロゴは二つありますが、何か意味があるのでしょうか。

A:はい。サイトが稼動していることからも分かるように、NcNの表現はSICFの展示に留まらず、多様に展開しています。しかしながら、その表現の本質はブースの展示にあるともいえるのです。だから、その違いというのを表すために、ブース内の表現に関してはノーマルなロゴ、それ以外ではスクラッチ・タイプのロゴを使用しています。

Q:それは、どういった効果をもたらすとお考えですか。

A:シンプルなロゴと、手を加えたもの。その二つの幅やズレというものが、NcNの表現にもあるということを感じていただけたらと思います。

Q:そうなんですか。それでは、他にも何か意味が込められているものがあるのですか。

A:ブース内に展示されるカードの色にも、意味があります。表面が水色、裏面が赤なのですが、9cm国家のコンセプトとしては、水色は海、赤が土地を象徴しています。最初は水色が表になっていますが、参加者の方に取り外して中の作品を読んでもらい、裏返して戻していただきます。それによって赤の面積が徐々に広がっていく、つまり海から土地が現れてくるというイメージを重ねています。

Q:なるほど。それは美しいですね。

A:それから水色と赤の意味には、もう一つあるんですよ。水色の表面には、中にある作品のタイトルが、赤の裏面には、今回のテーマ・ポエムと言える作品を解体した言葉が書かれています。で、その詩のタイトルが「血も涙もある」というのです。つまり、赤と水色は血と涙をも象徴しているわけです。すなわち、血も涙もある9cm国家を作り上げる、ということですね。

Q:そのテーマ・ポエムは、なぜ解体されているのですか。

A:詳しくは、次回の参加方法の説明の時にお話しますが、この解体された詩を使って、参加者の皆さんに新たに詩を作っていただく、という企画を考えているからです。

Q:それは面白そうですね。ぜひ次回を期待しています。

5:参加について (4/8)

NcNは、観客の皆さんの協力がなくては成り立ちません。ということで、いよいよ今回は、参加の仕方について、お話を伺いたいと思います。

Q:前々回の最後に、正面に向かって左のパネルに参加方法が掲示されている、ということを聞きましたが、その内容について具体的にお聞かせください。

A:それでは、参加の仕方について説明したいと思います。まず、メインのパネルの方をご覧下さい。そこには、9cm角の水色のカードが256枚並べられています。カードの左下には、中にある作品のタイトルが書かれているので、それを参考にしてお好きなものを選び、ピンを外して作品を読んで下さい。

Q:その後どうすればいいのですか。

A:読み終えたら、カードを閉じて裏返し、赤い面を表にして元の位置にピンで留めてください。

Q:ということは、水色のカードを読んでから、ひっくり返して赤にするということですね。

A:そうです。一枚だけでも構いませんが、これを繰り返して、何枚読んでいただいても結構です。ここまででもいいのですが、その先があります。

Q:といいますと。

A:その赤い面には、前回お話した、詩を解体した言葉が書かれています。ですから、そのひっくり返された赤いカード同士を、詩になるように並び替えてもらいたいのです。

Q:それは、オリジナルの詩を再現することが目的ではないですよね。

A:もちろんです。言葉と言葉を組み合わせることで面白い表現ができると思うので、それに挑戦してみてください。

Q:なるほど。では、赤いカードだけを動かしてもいいのですか。

A:その場合は、動かしたいカードを読んでから入れ替えてください。

Q:では、他の人が移動させたカードを、更に移動させてもいいのですか。

A:それは構いません。イベントの終了時までカードの位置というのは確定ではありませんので、自由に動かしてください。基本は「読んだら移動」ですね。

Q:そうすると、最終的に全体で一つの、みんなで作り上げる詩が出来上がるのですね。

A:はい。最初に水色だったカードが、全部ひっくり返され赤い面になり、一つの詩になる予定です。これが皆さんと作る、もう一つの9cm国家になるわけです。

Q:それは楽しみですね。でも、その詩はどうなるのですか。

A:最終的に、その詩に私がタイトルをつけて、参加していただいた皆さんに、お届けできたらと思います。ですから、お手数ですがノートを用意しますので、お帰りの際に住所・氏名などをお書きください。

Q:そうすると、詩が届くわけですね。

A:そうです。ポストカードにして、お届けしたいと思います。その他にも、後日こちらのサイトに掲載しますので、NcN終了後も注目してくださいね。